東京国立にある出張訓練WANLOVE代表トレーナー渡辺のコラム集です。
食について

現在のWANLOVEは昨年より犬向けの生肉をメインに扱う専門店ベイビークーとパートナーシップを結び、食に関して学ばせて頂きながら力を入れて取り組んでいます。
犬の健全な育成を考えた時、運動/食事/ストレスフリーの生活 の3つのバランスが取れているということを重要視します。
運動に関しては前回のコラムに詳しく書かせて頂きました。ストレスフリーはこれまでにも関わり方や過ごさせ方、社会化などの話をコラム内でお話させて頂いたと思います。
さて、今回の「食」です。
意外と多くのフードや手作りレシピ他、情報が沢山あり、何を選択し、何が正しいのか迷われると思います。
そんな中で食選びのヒント、ポイントになればと思います。
基本的な情報として犬が食べ物を口にして、消化吸収→排泄されるまでの時間比較から行きます。固形のドッグフード→16時間 生食→4時間、手作り食は8時間と言われていますが、内容や調理法により差があると思いますのでここでは単純にフードと生食を比較します。
消化吸収に多くの時間/エネルギーを使うとすると他の部分(細胞の再生他)に使うエネルギーの効率が悪くなってしまいます。
多くのドッグフード(もちろんオススメ出来る素晴らしいフードもありますが)は材料を加熱→圧縮してあの様々な形になり出荷されます。材料は残念な事に元々は様々な酵素や栄養素が含まれていますが、38℃以上で加熱すると不活化(作用しない状態)してしまいます。その為、多くのドッグフードはあとから合成のビタミンその他を振りかけ、表示されている栄養素との帳尻合わせをします。
残念なのは多くの野菜や肉、果物に含まれる天然のビタミンは複数のビタミンを摂取しても全て吸収されますが、合成ビタミンは相殺され吸収されません。
また多くのところで言われていることですが、ドッグフードは長期保存が可能な様に発ガン物質を多く含む防腐剤を多量に振りかけます。
ウチの子犬達は二頭は産まれてこの方生食のみ、一頭は2カ月前に迎えてからずっと生食で来ています。
ずっとドッグフードを食べていた成犬を生食に移行させるには腸を慣らして行く作業があり、時間をかけゆっくり慣らさなければなりません。またフードに慣れた胃や腸は移行が難しかったりします。
単に生食/生肉といっても、精肉店で売られている人用のそれと犬に与える肉は大きく違います。
人用の肉はきちんと血抜きをし、臭みなく美味しく食べられるようにしてありますが、犬達にとっては精肉されていない、したたる血は重要なミネラル源となります。また絶対に身体(特に心臓)に必要な塩分もこから摂取して行きます。我が家では鹿、馬、鳥をローテーションで与えています。
同一タンパク質による片寄りを防ぐ為です。
赤身の肉だけではバランスが悪く、赤身60%に対し、ミンチにした骨20%、内臓20%、これに野菜や発酵野菜、ひとつまみほどの塩(食卓塩でなく、岩塩や藻塩)亜麻仁油やヘンプオイルを入れてフードの完成です。
量はその子の日々の運動量や月齢により、体重に対して2%から6%の間で便の状態、身体の肉付きにより増減させて行きます。
塩は絶対に必要で体重に対して0.024%の塩を足しますが概ねひとつまみ程度で間違いないと思います。
これに反芻動物(鹿、羊等)の第四の胃と言われるトライプを少量足すと完璧です。
トライプは微生物タンクであり、腸内環境を整えてくれます。
野菜もそれ自体は犬は消化吸収出来ません。
消化吸収出来ないものを何故与えるのか?
野菜の酵素を摂取させたいからです。
良くお散歩中に犬達は路傍の草を良く食べる光景を見かけるかと思います。
また多くの子は食べた草をもどしたりします。
飼い主さんは「またそんな余計な草ばっかり食べるから吐いちゃって」と考えがちですが、犬達は本能的に足りなくなった植物の酵素を取り込み、消化吸収出来ない植物本体を体外に排出しているだけなのです。

このコラムて僕はドッグフードを否定したりするつもりはありません。手軽ですし、生食に比較すればコストパフォーマンスは圧倒的です。ただ安いにはそれなりの訳があり、コレはあまりオススメ出来ません。主原料が牛肉であるとしましょう。
ステーキ店で300gのお肉を注文すると安くても2,000円台、スーパーや精肉店で求めても1,000円以下は考えにくいかと思います。
それがドッグフードになると極端な例では10kg1,000円台という驚愕の値段のものが存在したりします。その肉大丈夫?と思ってしまいます。安かろう良かろうはドッグフードの世界ではあり得ません。
運動、ストレスフリー、そして食が整えば犬達にとって悪いはずがありません。
健康で長生きして欲しい思いは飼い主さんにとって皆同じなはずです。
そんな思い、またご自分達の犬に与えている食を考えるちょっとしたきっかけになればと思って書きました。
生食にご興味ありましたら個々に合わせたレシピ等お作り出来ます。
何か食の疑問があればどしどしお問い合わせ下さい。

posted by 渡辺元規 | 17:18 | 食について | comments(0) | - |
犬を育てるという事

みなさんは犬を育て始める時、まず何を考えるでしょうか?
吠えない様に、咬まない様に、フレンドリーで、人懐こく…様々な思いで犬育てに取り組んで行くと思います。
また、上手に関係性を構築…や、より自分達の話が聞けて…

これらを成り立たせる最良の方法は構わない事だと僕は考えます。

多くの人は愛情を注げば、注ぐ程、この愛情を汲み取ってくれ、犬が報いてくれる。と考えたりします。
しかし、多くはこの愛情に反比例し、要求ばかりが増加して行きます。
また人への注目も少なくなり、あまり話も聞かなくなります。
何故でしょうか?

まず人が犬に注目し続ける事により、犬が人を気にする必要性がなくなります。だって父ちゃんも母ちゃんもずっと見ててくれるから、犬が注目しなきゃ行けない理由なんて何処にも無いからです。

また与えられ過ぎると必ず飽きます。
いくら好きでも四六時中構ってくれ、遊んでくれ、要求を飲んでくれるとしたらお腹いっぱいですし、本当に必要な時にこちらを振り向かせる事は極めて難しくなってきます。

また構われないと居られなくなる。という弊害も起こって来ます。
放っておかれるのは辛いので吠えてアピールしたり、イタズラをして何とか気を引こうとしたり、簡単に留守番が苦手になったりします

どうしたら良好な関係性/生活習慣を定着させられるのでしょうか?

まずは構われない事が当たり前である状態を狙います。
人が食事をしていても、友人が来宅しても、子供達が大騒ぎしていても、外出しても、落ち着いてぼさっと寝ている状態を想像して下さい。
室内でフリーの状態でのコレが難しければ最初はサークルやクレートを活用します。
子犬なら特にこれを意識すべきで、サークル越しに落ち着いていられなければ、フリーで過ごさせる事はまだまだ先の話です。

この事が何故関係性〜や、話を聞ける〜に結びつくのか?
犬はたまに起こる良い事は強烈に学習します。
落ち着いて大人しくしている時に触ってもらったり、遊んでもらったり、散歩に連れ出してもらったり、フードが出て来たりすると落ち着いて過ごす意味があります。

また普段構われない事により、構われる時の喜びは倍増します。
この特に何をするか?によって学習効率も飛躍的にアップしますし、何事も習慣化する生き物ですので、これが積み重なると良い習慣を簡単に定着させる事が出来ます。
ただし、この構わない事程難しい事はありません。
だってみなさん構いたい、遊びたい、可愛がりたいと思って犬を飼いはじめるはずですから。
この構わない事を成り立たせる事が出来れば犬育ての大半は上手く行った様なものです。

もう一つ、意識したい問題は犬の社会化、刺激に慣らす作業ですが、こちらは次回に。

posted by 渡辺元規 | 15:29 | 犬を育てるという事 | comments(0) | - |
社会化

前回コラムで少し触れました、「社会化」は覚えておいででしょうか?
昨今は様々な本やサイトでも言及される様になって来ました。
僕が行っているトレーニングでは現在この「社会化」させる事を最重要項目として位置付けています。
簡単に言えば様々な刺激に慣らす事を社会化と言います。
犬は刺激に対して過剰に反応する、また多くの刺激が苦手な生き物です。
刺激は個体差もありますが、音、人、犬、車、バイク、自転車、雷、子供etc…色々なものが考えられますし、反応も個体によって様々です。

刺激によって興奮や緊張、酷い反応ではパニックになってしまえば、人の話を聞く余裕は無くなってしまい、コントロールは不能になったり、大きなストレスを受け続ける事になります。
この様な事態を避け、考え得る状況で犬が指示を聞け、ストレス無く行動出来る様に意識して社会化を進める必要があります。

子犬であれば、これから触れて行く住環境の内外での刺激に積極的に触れさせて慣らしてあげる(経験させる)必要がありますし、ワクチン接種前後の時期から抱っこして外の環境を見せてあげる等も有効です。

散歩も運動の側面以上に社会化を進めるための重要なステップです。
運動〜と捉えるより、社会見学としての意味合いが大きな意味があります。
犬同士触れ合う事も大事な社会化ですが、理想は落ち着いた、社会化の進んだ犬達と触れ合う事により、より高度で良質な社会化が望めます。
犬同士、くんずほぐれつ遊ぶ様子は微笑ましい光景ではありますが、いつもそればかりでは今がドッグランなのか?落ち着いて歩くべき道端なのか?の区別無く、いつでも犬を見かければ興奮してしまう様になってしまいます。

犬社会では興奮してしまう犬は嫌われます。
いかに常にクールであるか?が犬の中での位置を決定づける大きな要因であり、他犬とのコミュニケーションを円滑にして行きます。

様々な場所、刺激に慣らす事により、いつも落ち着いて人の話に耳を傾けられる犬として成長して行きます。
みなさんも是非良質な社会化を目指し頑張って見て下さい!

posted by 渡辺元規 | 15:29 | 社会化 | comments(0) | - |
陽性強化と陰性強化

よく「犬は褒めて育てましょう」とか「歩行中前に出たらリードを強く引いてショックを入れて!」などとものの本に書いてあったり、話されたりします。
上記は例ですが、平たく言えば前者が陽性、後者が陰性と言う事になります。
これはどちらが良い/悪いで語られがちですが、良い/悪いではなく、飼い主さんがどの方法を選択するか?だと思います。
本に書かれたり、話されたりしている多くの方法論は目的は同じ、良い子にしよう、育てようとして考えられ、書かれているものです。どの方法にせよ、大きく的外れだったり、間違っている事も無いはずです。
飼い方、しつけ方の選択の時に、僕が飼い主さんにお話するのは「何故犬を飼いましたか?」という質問です。
多くの方が「可愛がろう!楽しもう!」と思い、犬と暮らし始めるのでは無いでしょうか?
せっかく楽しもうと思っているところに「甘噛みしたらマズルをぎゅっと握って強くイケナイ!と言いましょう」とか「前に犬が出たらリードを強く引きショックを入れます」などとやっていたらなんのために犬を飼っているのか?本来の目的の楽しもう!というところとはかけ離れて行くのでは無いかと思います。
犬との関係は主従でも服従でもありません。
学習のポイントは何をすると何が起こるかを理解させるところにあります。
もっと言えば飼い主さんの話を聞く事が「面白い」と思わせる事が出来ればもう何も問題は起こりません。
恐怖や威圧で得るものは多くはありません。不安ばかりです。
犬は楽しい事は一生懸命しますが、つまらない事に努力したり頑張ったりしません。
今頑張れば良い学校に入れるかも?就職出来るかも?と思い、努力出来るのは人間だけです。
楽しみを作ってあげる事により、犬の学習効率は飛躍的にアップします。
また人も然り、楽しくない事を一生懸命やってはいられません。
皆さんが犬育てを楽しめる様な方法に出会えます様に。

posted by 渡辺元規 | 15:28 | 陽性強化と陰性強化 | comments(0) | - |
トレーニング

今回は「トレーニング」について書いて見ようと思います。
多くの方がトレーニング=動作を教えたり、問題行動を修正するもの と捉えがちです。
果たしてどうなのでしょうか?

確かにご相談にいらっしゃる方は、
引っ張る/咬む/吠えるetc…様々な理由で連絡を頂きます。
近年は子犬を飼い始めて、問題は無いが予防の意味でトレーニングを始める方も多くいらっしゃいます。
トレーニングを進めて行くと確かに問題となる行動は減少/消滅 して行きます。
ただ僕は良く結果として問題はクリアになりますが、目的はここでは無い。とお話します。
トレーニングの主たる目的は人と犬の関係性の構築だと考えます。
人と動く事、人に注目する事、指示を聞く事により楽しみを見出し、引いては「父ちゃん、母ちゃんの話を聞くのは面白いな!」と思わせられれば、問題などもう起きようがありません。
何せ話を聞くのが面白いんですから!
ここにトレーニングを行う真意がありますし、面白味があります。
また犬が覚える事以上に人が覚える事の方が遥かに多く、また前回書いた主従服従ではなく、むしろ人が上手に誘導出来たり、タイミングを取れたりする事が重要になります。
僕は良く例えてスポーツ見たいな物、と形容します。
身体が慣れるに連れ、上手に誘導出来たり、タイミングを取れたりする様になるものです。
犬との楽しい暮らしの為、人が多くを学び、実践出来て行く事がドッグトレーニングの真髄だと考えます。

posted by 渡辺元規 | 15:27 | トレーニング | comments(0) | - |
トレーニングを楽しいと感じれるまで

トレーニングを行う際、飼い主さんには遊びを伸ばし、楽しく動ける様にゲーム感覚でトレーニングを進めます。とご説明させて頂きます。
確かに遊びを伸ばす、ゲーム的な事で伸ばしていくのですが、最初から飼い主さんが楽しいか?は人それぞれに感じ方はあると思いますが、なかなか楽しむ余裕がないのでは?と度々思います。
実際に楽しい感覚に入るには人に犬の挙動を良く見る余裕があり、指示に対して良い反応を返してくれ、ちょうど歯車が噛み合う様に、人と犬の呼吸が会い始めてからがトレーニングを「面白い!」と感じられるのではないでしょうか?
この「面白い」「楽しむ」には犬が覚える部分ももちろんありますが、僅かで、むしろ人が上手に誘導出来、正解を引き出し、さらにその正解する事に楽しみを付随させられるか?が最初のポイントです。
この部分が疎かであったり、刺激の無い中で集中を得られないとより難しい条件下でのコントロールは困難になります。
段階を追って状況/条件のレベルをコツコツ上げて、話を聞ける/集中出来る の確認を取りながら進めて行くことが上手く行く最大のポイントです。
一つ一つの行動に対して、この場合はこう、では無く一定時間/一定距離の行動全体のコントロールが出来る事が大事です。
そのための集中の素を作る遊び/ゲーム の感覚で飼い主さんの話を聞く面白さを伸ばして見てください。

posted by 渡辺元規 | 15:26 | トレーニングを楽しいと感じれるまで | comments(0) | - |
トレーニング内容は簡単な事

最近のカウンセリング、保護犬を見させて頂く機会が多かった気がします。
多くの子を目にするのは、たまたまのタイミングかも知れませんが、皆さんの関心や意識の高まりからかとも思われます。幸せになれる子が一頭でも多くなります様に。

ご相談では飼い主さんが「こうでなければならないのでは?」と思い込んでいる方が以外と多くおられます。

「こうでなければならない」事など何もありません。
飼い主さんがどうしたいのか?や困らないかどうか?が一番重要な部分です。
多くの方の困る/困らない の部分は共通点(排泄や吠え、興奮etc…)があり、ある一定の学習の成り立たせ方やパターンはあるものの、こうあるべきかどうか?は多くの場合大きな意味は持ちません。
犬より必ず先に食事を取り、高い所に乗せず、ドアを先に出させないだけで話の良く聞ける名犬に育ち、素晴らしい信頼関係が築けたりは絶対にしません。
この迷信の様な精神論では無く、「どうすれば、何が起こるのか?」を教えてあげるだけで良いのです。
学習させる手間もかけず、言う事を聞かないや頭が悪いと言うのはかなり乱暴な話です。
行動を全て 良い/悪い の二別して考えれば考え方は単純です。
して欲しい事は強化して、させたく無い事は消去して行くだけです。
感情的になると思考が複雑になり、話がややこしくなります。
わかりやすく、成り立たせやすく示してあげる事がお互いの快適な生活に繋がると思います。

posted by 渡辺元規 | 15:23 | トレーニング内容は簡単な事 | comments(0) | - |
ランでの犬達の様子

先日は本会主催でドッグラン内でのしつけ教室を開催させて頂きました。ご参加された皆様、お手伝い下さった会の皆様、ありがとうございました。
ドッグラン内での開催で、あまり教室にばかり時間を取っても申し訳ないので、質疑応答をラン使用中の時間に個別にご相談をお聞きしましたが、こちらも真剣にお話を聞いて下さる方が多かった様に感じました。

ラン使用中ですので近くに居た方達と雑談ながら動いている犬達の行動解説を少し交えながらお話をしていました。

ドッグランを楽しく使用される事は全く問題無いのですが、意外にご自分の犬を見ていなかったり、今自分の犬がどのような状態であるか?を気にしていない方が多く見受けられた様な気がします。

最近のドッグランでは犬同士のトラブル〜その延長で飼い主さん同士のトラブル、深刻な咬傷事故などの話を度々耳にする様になってしまいました。
飼い主さん側の意識として残念なのは「柵があるから、ウチの子呼び戻るか、コントロール出来るかわからないけどリード離しちゃえ!」の様な意識の在り方です。

必ずしも呼び戻らないと、コントロール出来ないとドッグランを使用しては行けない。などと言うつもりはありません。
ただ頭の片隅に「何かあるかも?」と言う意識を少し置いておいて頂きたいのと、興奮をさせ過ぎない事を心がけて頂きたいのです。

コントロール出来る子なら興奮していようが、落ち着いていようが話が聞けるので大きなトラブルに巻き込まれたり、何かあった際の回避は容易ですが、落ち着いていても話が聞けるか聞けないかわからない子は興奮したら尚話は聞けなくなります。

この場合、犬の感情は考えません。
つまり楽しかろうが、怒っていようが、興奮しすぎる前に人が介入し、一旦リードを付けたり、カラーを掴んだりしてクールダウンする時間を作ります。

犬が犬を追いかけたり、追いかけられたりしながら興奮して走り回っている様子を「楽しそう!」と感じ、傍観している飼い主さんを多々見かけます。
あの状態は興奮して、話も聞けず、トチ狂っているだけです。

本来犬の楽しみは飼い主さんと何かをして遊ぶところにあり、その状態に持って行ってあげる事により、興奮状態をもコントロール出来る様になって行きます。

毎回ランに行くごとに犬を追いかけ回すことを積み重ねると、普段の散歩中でも犬を見ると興奮する習慣が成り立ちます。
犬と触れ合う事を否定しているのではありません。
興奮して遊ぶのでは無く、なかなか表現が難しいのですが「ネチネチ」遊び、その中で噛みつきの抑制を学んだり、身体的に強い子が弱い子が遊びに入り込み易い様にあえて下になり、お腹を見せて遊びに入り込み易い様に誘い込んだり(セルフハンディキャップ)身体的に五分五分の子同士ではお互い上下を入れ替えながら遊んだり…
こういう高度なコミュニケーション能力を犬は備えています。
良く社会化し、遊び上手な犬は経験の少ない犬との遊びを上手にコントロールし、相手に興奮させず、かつ遊びをリードしながら誘い込み、自分のしたい遊びに誘い込んで行きます。
ウチで子犬の頃から社会化経験を積んでいる子達は一つのおもちゃをお互い咥えあって引っ張りっこしたり、ボールを渡しあいながら遊んだりします。
犬は本来、落ち着いて過ごしたいものです。
興奮し、走り回れば落ち着いた犬達に怒られますし、遊びには誘ってもらえません。
時間や場所、遊び方もわきまえ、散歩中に誰かれ構わず遊びに誘ったり、犬を見て興奮したりしません。

ラン内での振舞わらせ方や接触のさせ方で、結果日常生活まで変わって来るのです。

みなさんも落ち着いた、大人のクールな犬を目指し、少し意識を変えてランでの犬達の様子を見てみてください。

次回は介入のポイントに触れられればと思います。

posted by 渡辺元規 | 15:21 | ランでの犬達の様子 | comments(0) | - |
犬同士のコミュニケーションと人の介入

前回少し触れた様に今回は犬同士のコミュニケーション〜人の介入ポイントについてお話を進め様と思います。
前回も書いた様にドッグラン内で良く見かける光景として、犬が犬を追いかけ回したり、追いかけたり、プロレスの様に組み合ってじゃれあったり…
これ自体が悪い訳ではありません。
特に子犬期の他犬との喧嘩遊びには大きな意味があり、この遊びが子犬期にある子と無い子では後の行動に大きな影響を及ぼします。
咬んだり、咬まれたり、乗ったり乗られたりしながら力の加減や、どの様に振る舞うと楽しい遊びが継続して行くのか?を経験を通して学んで行きます。
またこの時期の遊びで脳が活性化するとも言われています。
ウチのお預かりの子達を見ていると子犬期に少し上の年齢の面倒見の良い犬が相手になり、上手くコントロールされながら遊ぶ経験を積み重ねると遊んでもらった子犬が成長し、次に来る新たな子犬に自分のしてもらった遊びをまんま継承して行く様が見られます。
この中で人のする事はあまりありません。ただ見守るだけです。
時にエスカレートし、興奮し過ぎてしまう事は多々ありますのでこの場合のみ間に入り遊びを中断(多くの場合叱るのではなく、クレートに戻します)させ、興奮し過ぎると楽しい時間が終わってしまう形を取ります。
子犬に取って一番残念なのは楽しい時間が終わってしまう事です。
次第に興奮し過ぎず、上手にネチネチ遊びを展開して行く様になります。
例としてウチでの社会化お預かりを挙げましたが、これは高度に社会化され、十分な経験を持った犬が相手の場合で、ランなどの挙動、性格、経験も未知数の犬同士が接触する場面ではより細かな注意が必要です。
飼い主さん達は井戸端会議をしている場合ではありません。
自分、または相手の犬がどの様な行動を取り、どの様に振る舞うか?を注意深く観察している必要があります。
臆病な子が元気いっぱいの子に入場した途端追いかけ回されたりしてしまうと恐怖のイメージでいっぱいになり、その後のスムーズな社会化を阻害してしまう可能性もあります。
また楽しく遊んでいる場合でも度が過ぎれば興奮のあまり周囲を巻き込みながら何らかのトラブル(主に喧嘩)に発展する可能性も十分あり得ます。
入場時からご自分の犬、また周囲の犬達の様子を良く観察して下さい。
はしゃいで興奮していても、怯えて尻尾が中に入ってしまっていても、まだリードを離してフリーにすべきではありません。
リードを付けた状態でラン内をゆっくり歩き、周囲の様子を観察させ、多少落ち着くのを待ってからリードをオフにします。
リードを離してからも注意が必要です。周りには目もくれず、飼い主さんとの遊びに夢中であるならばさほど大きな心配は要りません。
ボールで遊んでいるならば、横から割って入った他のボール好きな子と取り合いで揉めない程度の注意を払っていれば大丈夫です。
他の犬を追いかけ回したり、追いかけ回されたりしている様ならば目を離さないで下さい。軽くじゃれている、または呼び戻せる(話が聞ける)程度ならまだ大丈夫。
興奮すればするほど回りも見えなくなり、話も聞けなくなります。
この時点では介入するには少しタイミングが遅すぎます。
怪しいかな?くらいのところでリードを付けるか、一旦分けて退場するか、タイムアウトの形を取ります。
先に室内での例をあげた様に楽しい時間を一旦取り上げてしまいます。
理想は犬自身に「どう振る舞えば楽しい時間が続くのか?」を理解させて行く為です。
臆病で萎縮している様であれば少し他犬と距離のある場所で状況を良く観察させます。無理にフリーにしたり、慣らさせ様と接触を強いたりしてはいけません。ファーストコンタクトはその後のイメージを決定付ける非常に重要な瞬間です。
慎重に行ってなんら問題はありません。急いで慣らさせ様とせず、犬自身が「なんでもないんだ!怖くないんだ!」と納得する事が重要です。
ラン内でも振る舞いの落ち着いた大人の犬を選び、挨拶をさせてもらう程度から始められれば最高です。
状況やメンバーによってはリードを離さない選択も非常に重要です。敢えてチャレンジする必要は無く、理想は楽しく、良好な関わり方や過ごし方の積み重ねでその後が大きく変わって行くからです。
その為にもランを使用する方一人一人の意識の持ち方が大切だと思います。10月に予定されているドッグランでのしつけ教室では実際に犬達が動いている中での行動解説と介入のポイントをお伝え出来ればと思っております。

posted by 渡辺元規 | 15:18 | 犬同士のコミュニケーションと人の介入 | comments(0) | - |
主従/服従やリーダー論

今回はカウンセリングにお伺いすると必ずと言ってもいいくらいにみなさん口にする主従/服従やリーダー論について書いて見ようと思います。
最初にご依頼を頂き、お伺いさせて頂き、お話を伺うとほぼ必ず「ウチの子は飼い主をなめている」とか「犬かリーダーで」など、主従/服従に絡むお話をされます。
これって本当にあるのでしょうか?
違う言い方をすれば本当に飼い主は犬を服従させないと関係性は上手く成り立たないのでしょうか?

犬を複数頭あるスペースの中で一緒に過ごさせると必ず順位付けがおきます。
いわゆる「群れ」が形成されます。
これは肉体的優位性よりも精神的な強さが大きく影響し、必ずしも大きく、強い犬が上位に立つ訳ではありません。
順位付けは犬の群れを安定させるのに非常に重要な要因でこれが定まっていれば揉めたりせず、日がな一日をゆったり過ごせて行けます。
特に一番上と一番下は不動の地位なので抜群に安定して行きます。
得てして揉めるのは下から二番目辺りの順列が入れ替わりやすい位置の犬で新たに入って来る犬に対して自分のポジションをキープするため、意地悪に振る舞ったり、突っかかったりしがちです。
我が家の6頭(上からフレンチ→ゴールデン→ラブ系ミックス→ドーベルマン⇆ヨーキー→チワワ)で当てはめれば下から二番目に位置するヨーキーと今年新たに引き取ったドーベルマンは位置的な不安定さとポジションキープのため、揉めがちで新たに入って来る犬に対して強く当たりがちです。
頻繁にお預かりにやって来る子や、立ち振る舞いの上手な子、または好みでの差はありますが、極端に興奮していたり、周りが見えていないと諌められがちです。
犬の世界ではいかにクールに振る舞えるか?が非常に重要であり、自分の立ち位置を決定づける大きな要因になります。
また個体や犬種によりあまり順位を気にしない犬もいます。
ここまでは「犬」の話です。

ではこれがまんま人、または家族に当てはまるのでしょうか?

犬は人間を見て「でっかい犬だな!」とは認識しません。
みなさんが口にする主従/服従の考え方は上記した犬の群れをまんま擬人化し、人の家族に当てはめたものです。
また良く目にする「オオカミ論」(これもオオカミは群れで行動し、リーダーが率いて〜犬は元々オオカミで…という論。ここまでを細かく書くと膨大な文になりますのでまたの機会に)に起因するものです。

ここで僕が一番話したいのはこの考え方が合っているとか、間違いだのの議論をしたいのではありません。
主従/服従の考え方の危険な所は「力づくでも抑え込まないと良好な関係性は得られない」という所に行き着きがちな所です。
犬は抑え込み、服従させ、リーダーにならないと行けないのではなく、何をすると何が起きるのか?を明確に提示する事と、落ち着いて接し、無駄に興奮させず(上記した様に犬もそれを望んでいます)楽しみを介在させる事で学習効率も飛躍的に伸びます。
敢えて抑え込まずとも簡単に関係性は構築出来るのです。
また楽しみが伸びるからこそ、ここぞというときの注意/叱責が効果を持つのです。
四六時中注意されていてはここぞというときの注意はあまり効果的ではありません。
日常的に注意されているため、特別な事とは認識されないのです。
現況の犬の、特にしつけに関しては迷信の様な話が大手を振ってまかり通っています。
一番ばかばかしいと思う一例を挙げれば「必ず犬より先に食事を取る」などです。
みなさんが自分の感じる事、感性や選択する目を養い、効果的でかつ楽しい犬との暮らしを構築出来る事を切に望みます。

posted by 渡辺元規 | 15:15 | 主従/服従やリーダー論 | comments(0) | - |
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